要介護認定の流れは?申請から施設入居までの順番と期間を整理
更新日:2026-07-30|読了目安:約9分|運営:サトコト合同会社

要介護認定の申請で市区町村に出すものは、申請書と介護保険被保険者証です(介護保険法第27条第1項)。医師の診断書をあらかじめ用意することは、法律が定める申請の要件になっていません。判定に使う主治医意見書も、市区町村が主治医に依頼して回収する書類です。この記事では、相談から通知まで、そして施設が候補に入るまでの順番と期間を、厚生労働省の資料で並べます。
この記事の要点
- 申請に出すのは申請書と被保険者証で、診断書の事前取得は法令の要件ではありません
- 認定は申請日にさかのぼって効力を持ち、通知は申請から原則30日以内です
- 40歳から64歳の人だけは、原因が16の特定疾病であることが要件になります
ただし、40歳から64歳までの人(第2号被保険者)だけは事情が違います。この年代は、要介護状態の原因が介護保険法施行令で定める16の特定疾病であることが認定の要件なので、実質的には医学的な診断が前提になります。65歳以上の場合と混ぜて読むと結論が逆になるため、この記事では項を分けて書いています。
要介護認定の流れは、相談から通知まで5つの段階に分かれます
全体の順番は次のとおりです。申請より前に相談の段階があり、認定の通知より前にサービスが始まる場合もあるため、「認定が出てから動く」という順番とは限りません。
| 段階 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| ① 相談 | 地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談する。認定を受けていることは相談の要件になっていない | — |
| ② 申請 | 申請書に介護保険被保険者証を添えて市区町村に申請する。決められた事業者等に代行してもらうこともできる | — |
| ③ 認定調査と主治医意見書 | 市区町村の職員等が本人と面接して心身の状況を調査する。あわせて市区町村が主治医に意見書を求める | 認定調査は平均約11.1日、主治医意見書は平均約17.8日(令和4年度下半期) |
| ④ 一次判定と介護認定審査会 | 調査結果と主治医意見書をもとに全国一律の方法でコンピュータが一次判定を行い、介護認定審査会が二次判定を行う | — |
| ⑤ 認定と通知 | 要支援1・2から要介護1〜5までの7段階、または非該当が通知される | 申請から原則30日以内(介護保険法第27条第11項) |
① 相談:地域包括支援センターには、認定を受ける前から相談できます
地域包括支援センターは、市区町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、地域住民の心身の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行う施設です(介護保険法第115条の46第1項)。
全国のすべての市町村に設置されていて、令和7年4月末現在で5,487か所、ブランチ1,567か所とサブセンター320か所を含めると7,374か所あります。運営形態は市町村の直営が2割、委託型が8割です。
このうち総合相談支援事業は、地域の高齢者や家族介護者に対して、初期段階から継続的・専門的に相談支援を行い、地域のさまざまなサービスにつなげるものとされています。厚生労働省の資料には、この事業の対象として要介護認定を受けていることは要件として書かれていません。認定の前でも、何から手をつければよいか分からない段階でも、相談する先として想定されているということです。
② 申請:出すのは申請書と被保険者証で、78.4%は代行で申請されています(令和6年度)
介護保険法第27条第1項は、要介護認定を受けようとする被保険者は、申請書に被保険者証を添付して市町村に申請しなければならないと定めています。必要なものとして条文に書かれているのは、この2つです。65歳以上の人は市区町村の介護保険被保険者証を、40歳から64歳までの人は医療保険証を使います。
申請は本人や家族が窓口に行く方法だけではありません。同項の後段は、申請の手続を代わって行わせることができる先として、次の4類型を挙げています。
- 指定居宅介護支援事業者(ケアマネジャーが在籍する事業所)
- 地域密着型介護老人福祉施設
- 介護保険施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)
- 地域包括支援センター
実際にどれだけ使われているかというと、令和6年度の実績で、認定申請全体の78.4%が申請代行によって行われていました。家族が平日に窓口へ行けない、遠方に住んでいるという状況は珍しくなく、代行のほうが多数派です。まず相談し、そこから代行で申請につないでもらう流れが、制度上も実態上も想定されています。
「診断を受けていないと申請できない」わけではありません
介護保険法第27条第1項が申請時に求めているのは申請書と被保険者証で、医療機関の診断書や、事前に診断を受けていることは要件とされていません。判定に使う主治医意見書についても、同条第3項は、市町村が主治の医師に対して意見を求めると定めています。本人が集めて提出する書類ではありません。
さらに同項のただし書は、主治の医師がないときやその他意見を求めることが困難なときは、市町村は本人に対し、市町村が指定する医師または市町村の職員である医師の診断を受けるべきことを命ずることができるとしています。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムも、市区町村が主治医に依頼すること、主治医がいない場合は市区町村の指定医の診察が必要になることを明記しています。かかりつけ医がいない人でも申請は成立し、診察先は市区町村側が手配する形です。
40歳から64歳の人は、原因となる病気が要件になります
ここまでの説明には例外があります。40歳以上65歳未満の第2号被保険者が要介護認定を受けるには、要介護状態等の原因である障害が、介護保険法施行令第2条に定める16の特定疾病によることが要件です。つまりこの年代については、原因となる病気が特定疾病に当たるかどうかが判断され、実質的には医学的な診断が前提になります。
65歳以上の第1号被保険者には、この原因を問う要件はありません。「診断がなくても申請できる」という説明は65歳以上の場合の話で、40代・50代の家族について同じように考えると結論が変わります。年齢によって前提が違う点だけ、分けて覚えておいてください。
③ 認定調査と主治医意見書:意見書は市区町村が依頼して回収します

申請があると、市町村は当該職員に被保険者と面接させ、心身の状況等を調査させます(介護保険法第27条第2項)。これが認定調査です。あわせて、市町村が主治医に主治医意見書への記載を求めます。
平成21年9月30日の老健局長通知は、要介護認定申請を受理した市町村は、審査対象者の主治医(主治医がいない場合は市町村の職員たる医師または市町村が指定する医師)に対して主治医意見書への意見の記載を求め、記載された意見書を回収する、と定めています。
実務でもこの形が大半です。令和5年度の調査(n=1,207、無回答除く)の内訳は次のとおりです。
- 92.3%の市町村が、主治医に直接依頼して意見書を回収する方法を採っている
- 7.5%の市町村では申請者があらかじめ主治医へ依頼しており、そのうち2.9%では申請者から意見書を提出している
なお厚生労働省は、介護保険法上、申請者が申請前に主治医意見書を入手すること自体は妨げられていないという見解も示しています。「絶対に自分で用意してはいけない」という話ではなく、原則は市区町村が動く、という整理です。意見書の作成料は申請者の負担ではありません。
この段階でどれくらいかかるかについては、認定調査の所要期間が平均約11.1日、主治医意見書の所要期間が平均約17.8日という数値があります(いずれも令和4年度下半期の実績)。主治医意見書は、申請から一次判定までに期間を要する主な要因として指摘されています。待たされていると感じたときに、どこで時間がかかっているのかを見当づける材料になります。
④ 一次判定と介護認定審査会:2段階で判定されます
一次判定は、認定調査の結果と主治医意見書に基づいて、全国一律の判定方法でコンピュータにより行われます。次に二次判定として、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が、一次判定の結果・特記事項・主治医意見書に基づいて判定します。介護認定審査会は各市町村に設置され(介護保険法第14条)、合議体は5人を標準とします(同法施行令第9条第3項)。
結果は、要支援1・2から要介護1〜5までの7段階、または非該当に分かれます。この区分が、このあと使えるサービスや入居できる施設の範囲を決めることになります。
⑤ 通知:原則30日以内。遅れる場合は延期の通知が届きます
申請から認定の通知までは、原則30日以内に行うこととされています(介護保険法第27条第11項)。同項は、30日以内に処分ができない場合の扱いも定めていて、市町村は申請から30日以内に、処分になお要する期間とその理由を通知して延期することができます。連絡がないまま長く待たされる形ではなく、遅れる場合は理由と見込みが通知される仕組みです。
認定には有効期間があります。厚生労働省の資料では、新規認定の有効期間は原則6か月(3〜12か月の範囲で市町村が調整可能)、更新認定は12か月(3〜36か月または3〜48か月の範囲で調整可能)とされています。一度認定を受けたら終わりではなく、更新の手続が続きます。
認定は申請日にさかのぼって効力を持ちます
順番の話で見落とされやすいのが、効力の起点です。要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼって効力を生じます(介護保険法第27条第8項)。通知が届いた日からではありません。
そのうえで、認定結果が出る前にサービスを始める道もあります。根拠は、厚生労働省老健局老人保健課の事務連絡「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」(平成22年4月30日)です。
この事務連絡は、保険者の判断で必要があると認めた場合には、要介護認定の申請を受けた後、認定結果が出る前の段階であっても、暫定ケアプランを作成して介護サービスの提供を開始することができる、としています。
同じ事務連絡には、一部の保険者では、迅速な対応が必要と判断される申請について同日のうちに認定調査を実施し、ケアマネジャーが暫定ケアプランを作成してサービス提供を開始している例も記されています。
施設が候補に入るのは、認定の区分が決まってからです
認定の区分が決まると、入居できる施設の範囲が決まります。主な施設の要件は次のとおりです。
| 施設 | 利用できる人 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) | 介護保険法および同法施行規則により、平成27年4月から新規入所者は原則として要介護3以上。要介護1・2の人は、居宅で日常生活を営むことが困難なやむを得ない事由がある場合に特例入所の対象となる |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1〜5の認定を受けた人。要支援1・2の人は利用できない。在宅復帰を目指している人の入所を受け入れる施設 |
| グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 要支援2および要介護1〜5の認定を受けた、認知症のある人。要支援1の人は利用できない |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 60歳以上の人、または要支援・要介護認定を受けている人 等 |
認定が出れば入居できる、という順番でもありません。特別養護老人ホームには入所申込みが多く、入居までに待機が生じています。
ただし厚生労働省が公表しているのは申込者数だけで、その数値についても公表資料自身が、長期間にわたり各施設の申込者名簿に登録されている人も含まれており、入所を希望する時期や条件、生活環境の変化等の事情により、必ずしも現に入所を必要としている場合に限らないと注記しています。申込者数をそのまま「順番待ちの人数」として読むことはできません。
また、全国の平均待機期間を示す公的な統計は、厚生労働省が公表している資料には含まれていません。
特養の入所申込者が何人で、その数字が何を表していないのかは、別の記事で整理しています。特養の入所申込者は20.6万人|平均待機期間の公的統計はないをご利用ください。
認定の区分が決まると、在宅サービスで使える1ヶ月の上限額(区分支給限度基準額)も決まります。その仕組みは関連記事で整理しています。在宅介護と施設、費用の仕組みはどう違う?限度額と負担割合で整理をご利用ください。
施設が候補に入ってきた段階で次に気になるのは費用です。入居者家族110人に聞いた実額の分布は関連記事にまとめています。介護施設の費用はいくらか(独自調査・n=110)をご利用ください。
迷ったときの相談先

この記事は制度の一般的な説明です。実際の申請で何が必要か、暫定ケアプランが使えるか、どの施設に申し込めるかは、本人の状態と市区町村の運用によって変わります。判断が必要な場面では、次の窓口に確認してください。
- 市区町村の介護保険窓口:申請の受付、必要書類、認定の進み具合、延期の連絡について
- 地域包括支援センター(親が住んでいる市区町村の担当センター):認定を受ける前の相談、申請の代行、サービスの相談について
- 主治医:40歳から64歳の場合の特定疾病の該当性など、医学的な判断が必要なことについて
よくある質問
Q.要介護認定の申請に、医師の診断書は必要ですか?
A.介護保険法第27条第1項が申請時に求めているのは、申請書と被保険者証です(40歳から64歳の人は医療保険証)。医療機関の診断書をあらかじめ用意することは、法令上の申請要件とはされていません。判定に使う主治医意見書は、同条第3項により市町村が主治医に意見を求めるもので、本人が取得して提出する建て付けではありません。作成料も申請者の負担ではありません。ただし、窓口での案内の仕方は市区町村ごとに運用が異なる可能性があり、全国どこでも同じ説明を受けられるとまでは確認できていません。持ち物は事前に市区町村の窓口へご確認ください。なお40歳から64歳の人は、要介護状態の原因が介護保険法施行令第2条の16特定疾病であることが要件になるため、この年代は医学的な診断が前提になります。
Q.親にかかりつけの主治医がいません。申請できますか?
A.できます。介護保険法第27条第3項のただし書は、主治の医師がないときやその他意見を求めることが困難なときは、市町村は本人に対し、市町村が指定する医師または市町村の職員である医師の診断を受けるべきことを命ずることができると定めています。厚生労働省の介護サービス情報公表システムも、主治医がいない場合は市区町村の指定医の診察が必要になると明記しています。診察先を家族が探して手配する形ではなく、市区町村側が指定する流れです。具体的な段取りは申請時に窓口へご確認ください。
Q.認定の結果が出るまで、介護サービスは使えませんか?
A.2つの仕組みがあります。1つは、要介護認定はその申請のあった日にさかのぼって効力を生じるという点です(介護保険法第27条第8項)。通知が届いた日が起点ではありません。もう1つは暫定ケアプランです。厚生労働省老健局老人保健課の事務連絡(平成22年4月30日)は、保険者の判断で必要があると認めた場合には、申請を受けた後、認定結果が出る前の段階であっても、暫定ケアプランを作成して介護サービスの提供を開始することができるとしています。同じ事務連絡には、迅速な対応が必要と判断される申請について、同日のうちに認定調査を実施している保険者の例も記されています。使えるかどうかは保険者の判断になるため、急ぐ事情は申請の時点で市区町村や地域包括支援センターに伝えてください。
Q.家族が遠方に住んでいて窓口に行けません。申請はどうすればいいですか?
A.申請の手続は代行できます。介護保険法第27条第1項の後段は、代わって手続を行わせることができる先として、指定居宅介護支援事業者、地域密着型介護老人福祉施設、介護保険施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)、地域包括支援センターの4類型を挙げています。令和6年度の実績では、認定申請全体の78.4%が申請代行によって行われていました。まだどこにもつながっていない段階であれば、親が住んでいる市区町村の地域包括支援センターが相談先になります。総合相談支援事業は初期段階からの相談支援を行うものとされており、認定を受けていることは相談の要件になっていません。
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出典・参考
- 厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会(第122回)資料4「要介護認定について」(令和7年6月30日)※介護保険法第27条第1項・第3項の条文、申請代行の4類型と代行率78.4%(令和6年度)、主治医意見書の依頼・回収を定めた老健局長通知(平成21年9月30日)、市町村の実務92.3%(令和5年度調査・n=1,207)、認定調査 平均約11.1日/主治医意見書 平均約17.8日(令和4年度下半期)
- 厚生労働省「要介護認定に係る法令」(現行法・2026年8月確認)※認定調査(第27条第2項)、介護認定審査会(第14条・施行令第9条第3項)、申請日への遡及(第27条第8項)、認定の有効期間
- e-Gov法令検索「介護保険法」(現行法・2026年8月確認)※第27条第11項(原則30日以内・延期の通知)ほか
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」(現行・2026年8月確認)※申請に必要な被保険者証、主治医がいない場合の市区町村指定医の診察、意見書作成料は申請者負担でないこと、一次判定、要支援1・2から要介護1〜5までの7段階
- 厚生労働省「地域包括支援センターの概要」(令和7年(設置数は令和7年4月末現在))※介護保険法第115条の46第1項の定義、総合相談支援事業は初期段階からの相談支援(認定の有無は要件とされていない)、全国5,487か所(ブランチ・サブセンターを含め7,374か所)、直営2割・委託8割
- 厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」(現行法・2026年8月確認)※40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、原因である障害が介護保険法施行令第2条の16特定疾病によることが要件
- 厚生労働省老健局老人保健課 事務連絡「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」(平成22年4月30日)※保険者の判断により、認定結果が出る前でも暫定ケアプランを作成してサービス提供を開始できること
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日 老高発1212第1号)(平成26年12月12日発出/平成27年4月1日適用・2026年8月確認)※特養の新規入所は原則要介護3以上、要介護1・2はやむを得ない事由がある場合の特例入所
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護老人保健施設」(現行・2026年8月確認)※老健は要介護1〜5が利用でき、要支援1・2は利用できない
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「認知症対応型共同生活介護」(現行・2026年8月確認)※グループホームは要支援2および要介護1〜5が利用でき、要支援1は利用できない
- 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要」(令和7年度)※入居者要件は60歳以上の者または要支援・要介護認定者 等
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)」(2025年4月1日時点・2025年12月25日公表)※要介護3以上の入所申込者20.6万人(うち在宅8.6万人)。公表資料は、長期間名簿に登録されている人も含まれ必ずしも現に入所を必要としている場合に限らないと注記している
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言・税務相談ではありません。個別の判断が必要な場合は税理士・行政書士・弁護士等の専門家にご相談ください。