在宅介護と施設、費用の仕組みはどう違う?限度額と負担割合で整理
更新日:2026-08-01|読了目安:約11分|運営:サトコト合同会社

在宅で介護を続けるか、施設に移るかを考えると、まず費用を比べたくなります。ただ、この2つは費用の決まり方そのものが違います。在宅は要介護度ごとの1ヶ月の上限(区分支給限度基準額)に1割から3割の自己負担割合がかかり、施設は基本料金とその外側の請求という形になります。この記事は「どちらが安いか」に答えるものではありません。厚生労働省の資料で仕組みを整理し、金額の確認先までを示します。
この記事の要点
- 在宅は要介護度ごとの上限(区分支給限度基準額)と1〜3割の負担割合で決まります
- 施設は基本料金と、その外側にかかる請求の2階建てになっています
- 自己負担には高額介護サービス費という世帯単位の月額上限があります
先に、この記事で扱わないことを書いておきます。在宅介護の月額の相場や平均額は載せていません。当サイトは施設に入居した家族への独自調査を持っていますが、在宅で介護している家庭の支出については実測データを持っていないためです。金額の平均を並べて比べる代わりに、制度の枠組みと、金額を確認する窓口を示します。
在宅の費用は、要介護度ごとの上限と自己負担割合で決まる
訪問介護やデイサービスなどの在宅サービスは、要介護度ごとに1ヶ月あたりの上限が決められています。これを区分支給限度基準額といい、金額ではなく「単位数」で定められています(厚生省告示第33号)。上限は要支援1がもっとも小さく、要介護5がもっとも大きくなります。
| 要介護度 | 区分支給限度基準額(単位) | 1単位10円で換算した金額 | 自己負担1割の場合 |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 | 5,032円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 | 10,531円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 | 16,765円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 | 19,705円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 | 27,048円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 | 30,938円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 | 36,217円 |
この金額は、利用者が支払う額ではありません。介護保険から給付される分を含んだ、サービス全体の費用の上限です。実際に払うのは、このうちの1割から3割にあたる自己負担分になります(割合の決まり方は次の項目で扱います)。
なお、2026年度(令和8年度)の介護報酬改定は期中の改定で、改定率は+2.03%(内訳は処遇改善分+1.95%、基準費用額(食費)引上げ分+0.09%)です。厚生労働省が公表している改定の概要には、区分支給限度基準額の見直しは示されていません。
2割負担は利用者の4.6%、3割は3.6%。多くの人は1割です
介護サービスを使ったときの自己負担は、1割・2割・3割のいずれかです。2割・3割になるのは所得基準を満たす人で、それぞれ利用者の4.6%・3.6%です(2022年3月時点)。同じ要介護度で同じサービスを使っても支払額が変わるのは、この区分が効くためです。判定の基準は次のとおりです。
| 割合 | 本人の合計所得金額 | 年金収入+その他の合計所得金額 |
|---|---|---|
| 3割 | 220万円以上 | 単身世帯340万円以上/夫婦世帯463万円以上 |
| 2割 | 160万円以上220万円未満 | 単身世帯280万円以上/夫婦世帯346万円以上 |
| 1割 | 上記に当たらない場合 | — |
- 40歳以上65歳未満の第2号被保険者、市町村民税非課税者、生活保護受給者は、上の判定にかかわらず1割負担になります。
- 合計所得金額とは、収入から公的年金控除や給与所得控除、必要経費を差し引いたあとで、基礎控除や人的控除などを差し引く前の所得金額をいいます。
自己負担には、世帯ごとの月額の上限がある
1ヶ月に支払った利用者負担の合計が一定額を超えた場合、超えた分が介護保険から支給される仕組みがあります。これを高額介護サービス費といいます。上限額は所得の区分によって分かれます。
| 区分 | 上限額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円以上の第1号被保険者がいる世帯 | 世帯140,100円 |
| 課税所得380万円以上690万円未満 | 世帯93,000円 |
| 課税所得380万円未満 | 世帯44,400円 |
| 市町村民税世帯非課税 | 世帯24,600円 |
| 市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が82.65万円以下、または老齢福祉年金受給者 | 世帯24,600円(個人15,000円) |
| 生活保護の被保護者 | 個人15,000円 |
この上限は、介護サービスの利用者負担に対してかかるものです。厚生労働省の介護サービス情報公表システムの説明では、福祉用具購入費や食費・居住費等の一部は、この制度の対象から除かれています。
施設の費用は、基本料金とその外側の2階建てになっている
在宅が「使った分の1〜3割、ただし月の上限まで」という積み上げ方をするのに対して、施設は家賃・管理費・食費・介護費をまとめた基本料金があり、その外側に別の請求が乗る形になります。
当サイトが2026年7月に実施した独自調査(過去5年以内に親または配偶者の親を施設に入居させた110人)では、この2階部分の厚みが施設の種類によって大きく違いました。
- 通常月の自己負担の合計は、公的施設(特養・老健)の87%が15万円未満、民間施設(介護付・住宅型・サービス付き高齢者向け住宅)の71%が15万円以上でした(分母は公的47人・民間52人)。
- 基本料金に含まれると思っていたのに別に請求された費用が何かあったと答えた人は75%でした(分母は110人)。
特養の入所申込者が何人で、その数字が何を表していないのかは、別の記事で整理しています。全国の平均待機期間を示す公的な統計はありません。特養の入所申込者は20.6万人|平均待機期間の公的統計はないをご利用ください。
施設側の金額は、この記事で扱っている制度の枠組みとは別に、実際に払った人の分布として調べています。施設の種類ごとの通常月の自己負担、基本料金の外側でかかった額、入居前の想定との差までを110人分まとめています。介護施設の費用アンケート(n=110)をご利用ください。
在宅にも施設にも、「保険の外側」がある

在宅と施設で共通しているのは、介護保険が面倒を見る範囲の外側に、家計から出ていく支出があるという構造です。ただし、その外側の大きさが分かっているのは、いまのところ施設側だけです。
施設については、上で触れた調査で、基本料金とは別にかかる額の分布まで実測できています。金額を押し上げていたのは、次のような課金の設計でした。
- 施設が指定する品しか使えない
- 持ち込みに料金がかかる
- 通院の付き添いが別料金
一方の在宅については、区分支給限度基準額の対象になるのは介護保険のサービスであって、それ以外の支出がいくらになるかは、この記事の根拠にしている公的資料からは読み取れません。当サイトも在宅側の実測データを持っていないため、金額は書きません。
そのうえで言えるのは、在宅と施設を比べるときに、介護保険の給付の枠内だけで比べると片方だけを軽く見積もることになる、ということです。施設の見学時に基本料金に含まれないものの一覧を品目で求めるのと同じように、在宅で使うサービスについても、介護保険の対象になるものとならないものの区別をケアマネジャーに確認しておくと、家計に出ていく額の見当がつきやすくなります。
在宅サービスは、どれくらいの人が使っているのか
費用の話とは別に、在宅サービスがどの程度使われているかを見ておきます。厚生労働省の介護給付費等実態統計によると、2024年度(令和6年度)の年間実受給者数は約675万人で、前年度から1.8%増えました。このうち訪問介護の受給者は2025年4月審査分で約111万人です。在宅で介護保険のサービスを使うこと自体は、特別な選択ではありません。
自分の家の金額は、どこで確認できるか
ここまでの数値は、全国共通の制度の枠組みです。実際にいくらになるかは、要介護度・地域・所得区分・使うサービスの組み合わせで変わります。確認先を整理しておきます。
- 自己負担割合(1割・2割・3割)は、市区町村の介護保険窓口か、担当のケアマネジャーに確認できます。
- 区分支給限度基準額の枠をどこまで使っているか、どのサービスが介護保険の対象かは、担当のケアマネジャー(要支援の場合は地域包括支援センター)に確認できます。
- 1単位あたりの単価が地域とサービスでどうなるか、高額介護サービス費の上限がどの区分に当たるかは、市区町村の介護保険窓口で確認できます。
- どこに聞けばよいかも分からない段階であれば、地域包括支援センターの総合相談支援事業が入口になります。要介護認定を受けていることは要件になっていません。
上限額や判定の基準は改定されることがあります。この記事に載せた金額には、それぞれ適用の時点を書いてあります。時点が古くなっていないかを含めて、最終的な確認は窓口の最新の案内で行ってください。
よくある質問
Q.在宅で続けるのと施設に入るのとでは、どちらが安いですか?
A.費用の決まり方が違うため、月額を並べて引き算する形にはなりません。そのうえで、桁の見当をつける換算をひとつ示します。たとえば要介護3で、上限(27,048単位。1単位10円換算で270,480円)まで使い自己負担が1割なら、月の自己負担は27,048円です(機械的な換算値で、地域とサービスによって単価は変わります)。施設のほうは、当編集部の調査で通常月の自己負担が公的施設の87%で15万円未満、民間施設の71%で15万円以上でした。ただし在宅はこの27,048円の外側に、食費・日用品・住まいの費用がそのまま残ります。施設ではそれらが基本料金に入っているため、単純な引き算はできません。加えて、費用が低い側に寄っている公的施設(特養)は、平成27年(2015年)4月から新規入所者が原則として要介護3以上に限定され、入所申込みも多いため、そもそも選べるとは限りません。当サイトは在宅で介護している家庭の支出について実測データを持っていないため、在宅の月額相場は載せていません。
Q.限度額の表にある金額は、そのまま自分の地域に当てはまりますか?
A.当てはまるとは限りません。区分支給限度基準額は金額ではなく単位数で定められていて、表の右列は1単位を10円として換算したものです。厚生労働省の告示では、1単位の単価は10円に地域区分とサービス種類(人件費割合)に応じた割合を乗じた額とされており、地域は8区分、人件費割合は3区分に分かれています。各市町村の級地は原則として公務員の地域手当の区分に準拠します。そのため、地域とサービスによっては10円換算より大きくなります。実際の単価は市区町村の窓口か、ケアプランを作る担当者に確認してください。
Q.親の自己負担割合は、どこで確認できますか?
A.市区町村の介護保険窓口か、担当のケアマネジャーに確認してください。判定は所得で決まり、3割になるのは本人の合計所得金額が220万円以上で、かつ年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯340万円以上(夫婦世帯463万円以上)の場合です。2割は本人の合計所得金額160万円以上220万円未満で、かつ同じ合計が単身世帯280万円以上(夫婦世帯346万円以上)の場合です。40歳以上65歳未満の第2号被保険者、市町村民税非課税者、生活保護受給者は、この判定にかかわらず1割です。2割の対象者は利用者の4.6%、3割は3.6%で(2022年3月時点)、多くの人は1割です。
Q.高額介護サービス費の上限額は、いつの時点のものですか?
A.この記事に載せた上限額は、2026年8月1日から適用されるものです(2026年7月31日発出の介護保険最新情報Vol.1532)。非課税世帯の基準額は毎年8月に見直され、82.65万円という基準は2025年に支給される老齢基礎年金(満額)が826,500円となったことを踏まえたものです。2025年8月から2026年7月までは80.9万円でした。年をまたぐと変わるため、申請する時点の金額は市区町村の案内で確認してください。また、この上限は介護サービスの利用者負担にかかるもので、厚生労働省の介護サービス情報公表システムの説明では福祉用具購入費や食費・居住費等の一部は対象から除かれています。
この記事を読んだ人向けの無料ツール
介護・お金・実家、いま確認することを7つの質問で整理する
- 7つの質問・約90秒
- 無料・登録不要
- 回答は送信しません
介護保険の申請状況、親との距離、費用の負担。7つの質問に答えると、いまの現在地と「いま確認すること3つ」、無料で相談できる公的窓口(地域包括支援センター等)を出典つきで整理します。回答は端末内でのみ処理します。
7つの質問に答える当サイトの無料ツールです(広告ではありません)
出典・参考
- 厚生労働省法令検索「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」(平成12年2月10日厚生省告示第33号)(最終改正 平成31年3月28日厚生労働省告示第101号/平成31年10月1日適用・2026年8月確認)※区分支給限度基準額の単位数(要支援1の5,032単位〜要介護5の36,217単位)
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービスにかかる利用料(2026年8月確認)※区分支給限度基準額の10円換算額/利用者負担は1割(一定以上所得者は2割または3割)/高額介護サービス費は福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く
- 厚生労働省法令検索「厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成27年3月23日厚生労働省告示第93号)(平成27年4月1日適用(以後改正あり)・2026年8月確認)※1単位の単価は10円に地域区分とサービス種類に応じた割合を乗じた額
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第243回)資料1「地域区分」(令和6年12月23日・2026年8月確認)※地域8区分・人件費割合3区分/級地は原則として公務員の地域手当の区分に準拠
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」(令和8年度・2026年8月確認)※期中改定・改定率+2.03%(処遇改善分+1.95%、基準費用額(食費)引上げ分+0.09%)
- 厚生労働省老健局 社会保障審議会介護保険部会(第107回)参考資料2「給付と負担について(参考資料)」(令和5年7月10日・2026年8月確認)※自己負担2割・3割の判定基準/第2号被保険者・市町村民税非課税者・生活保護受給者は1割/2割対象者4.6%・3割3.6%(介護保険事業状況報告 令和4年3月月報)
- 介護保険最新情報Vol.1532「『介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて』の一部改正について」(老介発0731第1号)(令和8年7月31日発出・令和8年8月1日適用)※高額介護サービス費の負担上限額(令和8年8月1日から適用)/非課税世帯の基準額82.65万円の根拠
- 介護保険最新情報Vol.997「『介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて』の一部改正について」(老介発0705第1号)(令和3年7月5日発出・令和3年8月1日サービス分から適用)※高額介護サービス費の140,100円・93,000円の区分が令和3年8月から設けられたことの根拠
- 介護保険最新情報Vol.1390(令和7年6月4日発出・令和7年8月〜令和8年7月適用)※非課税世帯の基準額が令和7年8月から令和8年7月まで80.9万円であったことの根拠
- 厚生労働省「令和6年度 介護給付費等実態統計の概況」(令和7年9月30日公表・2026年8月確認)※年間実受給者数6,754.0千人/居宅サービス受給者3,514.4千人・訪問介護1,109.6千人(令和7年4月審査分)
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日 老高発1212第1号)(平成26年12月12日発出/平成27年4月1日適用・2026年8月確認)※特養の新規入所は原則として要介護3以上(要介護1・2は特例入所)
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)」(2025年4月1日時点・2025年12月25日公表)※要介護3以上の入所申込者20.6万人(うち在宅8.6万人)
- 厚生労働省「地域包括支援センターの概要」(令和7年4月末現在・2026年8月確認)※全国5,487か所(ブランチ・サブセンターを含め7,374か所)/総合相談支援事業は初期段階からの相談支援
- 親のあと手帖「介護施設の費用アンケート」(当サイトの独自調査・n=110)(2026年7月実施)※当サイトによる独自調査(インターネット調査・施設所在地35都道府県)。施設側の実測値はこの調査による
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言・税務相談ではありません。個別の判断が必要な場合は税理士・行政書士・弁護士等の専門家にご相談ください。 記載の費用・相場は調査結果および公表データに基づく目安であり、実際の金額は施設の種類・所在地・要介護度・所得区分により異なります。