介護施設の見学チェックリスト|家族110人が請求書で初めて知った費用
更新日:2026-07-31|読了目安:約10分|運営:サトコト合同会社

介護施設の見学で確認する項目のうち、あとから効いてくるのは設備や雰囲気より「基本料金に含まれないものが何か」でした。親のあと手帖編集部が110人に行ったアンケートでは、75%が基本料金の外側の費用に遭っています。この記事は一般的なチェックリストではなく、その110人が実際に挙げた項目から逆算して、見学で聞いておく質問を並べたものです。
この記事の要点
- 経験者110人のうち75%が基本料金の外側の費用に遭い、想定どおりは25%でした
- 最も多く挙がったのはオムツ等消耗品41%ですが、金額の順位ではありません
- 見学では月額表と別に「基本料金に含まれないものの一覧」を品目で求めます
見学の場で建物や食事を見るのは誰でもやります。一方で、月々の請求額を決めているのは、パンフレットの月額表に載っていない部分です。以下では、調査で挙がった項目を「見学で何と聞くか」に置き換えていきます。施設の良し悪しを判定するためのリストではなく、入居後に金額が読める状態にしておくためのリストです。
なぜ見学で費用の内訳まで聞くのか。75%が、基本料金の外側の費用に遭っている
調査では、基本料金に含まれていると思っていたのに別に請求された費用を、複数選択で聞きました。結果は次のとおりです(分母は回答者全員の110人)。
| 項目 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| オムツ等消耗品 | 45人 | 41% |
| 医療費・通院 | 27人 | 25% |
| (参考)すべて想定どおりだった | 27人 | 25% |
| 理美容 | 26人 | 24% |
| レクリエーション・行事 | 26人 | 24% |
| 衣類・日用品の補充 | 25人 | 23% |
| 薬代 | 24人 | 22% |
| お小遣い・嗜好品 | 7人 | 6% |
| 救急搬送・入院時の費用 | 3人 | 3% |
| その他 | 2人 | 2% |
では、想定とのずれはどのくらいの金額だったのか。入居前の想定との差は、想定どおりが44%、想定より高かったが47%とほぼ半々で、しかも「高かった」の大半は月5万円未満の差でした。見学の目的は「大外しを防ぐ」ことよりも、毎月数千円から数万円の幅を入居前に把握しておくことに近いといえます。
想定との差の回答の内訳は、同じ調査をもとにした費用記事に表で載せています。介護施設の費用はいくら?入居者家族110人に聞いた月額と想定外の出費をご利用ください。
自由回答からは、金額そのものより「施設が指定する品しか使えない」「持ち込みに料金がかかる」「時間単位で課金される」といった課金の設計が、月々の支出を押し上げている様子が読み取れます(読みやすさのため一部要約しています)。
- 施設指定のオムツ・パッド以外は持ち込み不可で、月2万5千円(介護付き有料老人ホーム)
- オムツの持ち込みに処分費・持ち込み料が月5千円上乗せ。理美容は1回4千円(介護付き有料老人ホーム)
- 通院の付き添いが30分ごとに別料金。重なった月は付き添いだけで1万5千円(介護付き有料老人ホーム)
- 住宅型で、ポットの湯の入れ替えやゴミ箱の確認も30分880円の有料サービス(住宅型有料老人ホーム)
- サービス付き高齢者向け住宅は「賃貸マンションみたいなもの」で、トイレットペーパーから洗剤まで実費。日用品だけで月1万円(サービス付き高齢者向け住宅)
- 月1回の外出レクリエーション参加費1,500円。施設内のイベントは無料だと思っていた(グループホーム)
いずれも、入居後の請求書ではじめて具体的な金額が分かったという声です。本調査では、これらが入居前に説明されていたかどうかは聞いていません。
説明があったのに聞き流していた場合もあれば、聞かなければ出てこなかった場合もあるはずです。どちらであっても、見学の場で品目を先に確認しておけば、請求書を受け取る前に金額の幅は読めます。
基本料金の外側について、見学で聞いておくこと
前章の項目を、そのまま見学時の質問に置き換えたのが次の表です。左の割合は、その項目を「基本料金に含まれていると思っていた」と答えた人の割合(分母 n=110)です。挙がった人が多い項目ほど、説明が抜けやすい、あるいは思い込みが起きやすいところだと考えて並べています。
| 調査で挙がった項目 | 見学で確認すること |
|---|---|
| オムツ等消耗品(45人・41%) | 施設が指定する品しか使えないのか、持ち込めるのか。持ち込む場合に処分費・持ち込み料などの名目で上乗せがあるか。指定品の場合の1ヶ月あたりのおおよその金額 |
| 医療費・通院(27人・25%) | 通院の付き添いが基本料金に含まれるか、別料金か。別料金なら時間単位か1回単位か。協力医療機関はどこで、そこへの通院と他院への通院で扱いが変わるか |
| 薬代(24人・22%) | 薬の受け取り・服薬管理が基本料金の中か、別料金か。薬局が指定されるか |
| 理美容(26人・24%) | 施設内で受けられるか、1回あたりいくらか、どのくらいの頻度で案内されるか |
| レクリエーション・行事(26人・24%) | 参加費が別に必要な行事があるか。外出をともなう行事の費用負担はどうなるか。参加しない選択ができるか |
| 衣類・日用品の補充(25人・23%) | トイレットペーパー・洗剤などの日用品が実費か、施設が用意するか。洗濯・クリーニングが基本料金の中か。名前つけや補充を誰がやるか |
| お小遣い・嗜好品(7人・6%) | 現金の預かりや立て替えの有無と、その精算方法・精算の頻度 |
| 救急搬送・入院時の費用(3人・3%) | 入院した月の基本料金がどうなるか(居室を空けておく間の扱い)。搬送や付き添いに費用が発生するか |
項目を1つずつ質問していくのが大変なら、まとめて1つだけ頼む方法があります。月額表とは別に「基本料金に含まれないものの一覧」を、品目で出してもらうことです。口頭の説明だけだと、聞いた側の記憶に残る範囲でしか比較できません。
実際、基本料金の外側にいくらかかっているかは、施設の種類によって差が出ています。
通院や入院が重ならないふつうの1ヶ月に、基本料金とは別でかかった額は、公的施設(特養・老健、n=47)では72%が月1万円未満、民間施設(介護付・住宅型・サービス付き高齢者向け住宅、n=52)では67%が月1万円以上で、分布がほぼ反転しています。なお特養は原則要介護3以上が対象で、入居までに待機があります。「安いほうを選ぶ」という比較にはなりません。
基本料金そのものの分布や、通常月の自己負担の合計、費用を誰が負担したかまで含めた集計は、同じ調査をもとにした関連記事にまとめています。介護施設の費用はいくら?入居者家族110人に聞いた月額と想定外の出費をご利用ください。
お金以外にも、見学の時間内に確認できることがあります

本調査では「もっとこうすればよかったこと」も自由回答で聞いています。設備や職員の質を採点するようなデータは取っていないため、ここで挙げるのは「そこを見ておけばよかったと言われた場所」であって、良い施設の条件ではありません。回答から、見学の時間内に確認できる範囲のものを挙げます。
- 日中だけでなく、夕方や夜間の職員体制。何人で、どの時間帯にどう対応するのか
- 面会の運用。時間帯や場所、感染症が流行したときにどう変わるのか
- 通いやすさ。何かあったときに、実際に自分が何分で行けるか
- 要介護度が変わったとき(重くなったとき・軽くなったとき)に、入居を続けられるのか
- 家族側の連絡窓口を誰にするか。服の買い足しや受診同行の連絡が、特定の一人に集中しない形にできるか
自由回答には、費用と設備のきれいさで決めて車で40分の施設にしたが近さを優先すべきだった、近隣に空きがなく病院の紹介で県外の施設になり何かあってもすぐ行けない、面会がガラス越しで感染対策の運用まで見ておくべきだった、といった声がありました。距離と運用は、パンフレットや料金表からは読み取りにくい部分です。
ただし、これらは決めたあとに振り返って出てきた言葉です。次章のとおり、多くの人は限られた時間と選択肢の中で決めており、同じ条件で選び直せたとは限りません。
実際は何ヶ所見ているのか。75%が2〜3ヶ所、13%は1ヶ所だけ
85%が6ヶ月以内に入居先を決めており、検討した施設は75%が2〜3ヶ所。1ヶ所だけで決めた人も13%います。これは検討が足りなかったという話ではありません。病院の退院期限や特養の空き待ちといった外部の事情が先にあって、その中で決まっていると考えるほうが自然です。
施設探しの情報源(複数選択・n=110)も、それを裏づけています。ケアマネジャーが62%で最も多く、病院・ソーシャルワーカー27%、地域包括支援センター26%と続きました。医療・介護の現場から示された選択肢の中から決めている人が多数派です。
この3つのルート(専門職に相談する・紹介会社を使う・自分で探す)の違いと、紹介会社の手数料が誰から誰に支払われるのかは、別の記事で整理しています。老人ホームの探し方は3つ|紹介会社の手数料は誰が払うのかをご利用ください。
期間・検討した施設数・情報源の回答の内訳は、同じ調査をもとにした費用記事に表と図で載せています。介護施設の費用アンケート(n=110)の集計をご利用ください。
したがって、この記事のチェックリストは「いまから比べ直すため」のものではありません。必要になってから何ヶ所も回る時間はほとんどの人にありません。親がまだ元気なうちに、通える範囲の施設を1〜2ヶ所だけでも見て、月額表と「基本料金に含まれないものの一覧」を受け取っておく。それだけで、必要になったときに手元に判断材料が残ります。
見学で聞くことリスト(そのまま使えます)
ここまでに出てきた質問をまとめました。印刷するか、スマートフォンに控えて、見学の場でそのまま使えます。項目はすべて、本調査に答えた110人が実際に挙げた費用や、見ておけばよかったと書いた場所から起こしたものです。
- オムツなどの消耗品は施設の指定品か、持ち込めるか。持ち込む場合に処分費・持ち込み料などの名目で上乗せがあるか
- 指定品の場合、消耗品は1ヶ月あたりおおよそいくらか
- 通院の付き添いは基本料金に含まれるか、別料金か。別料金なら時間単位か1回単位か、1回あたりいくらか
- 協力医療機関はどこか。そこへの通院と、他の病院への通院とで扱いが変わるか
- 薬の受け取りと服薬管理は基本料金の中か、別料金か。薬局は指定されるか
- 理美容は施設内で受けられるか。1回あたりいくらで、どのくらいの頻度で案内されるか
- 参加費が別に必要な行事はあるか。外出をともなう行事の費用は誰が負担するか。参加しない選択はできるか
- トイレットペーパー・洗剤などの日用品は実費か、施設が用意するか。洗濯・クリーニングは基本料金の中か
- 現金の預かりや立て替えはあるか。ある場合、精算の方法と頻度はどうなるか
- 入院した月の基本料金はどうなるか(居室を空けておく間の扱い)。搬送や付き添いに費用が発生するか
- 月額表とは別に、「基本料金に含まれないものの一覧」を品目で出してもらえるか
- 月の請求書のサンプルを見せてもらえるか
- 日中と夜間で職員体制はどう違うか。何人で、どの時間帯にどう対応するのか
- 面会の時間帯と場所。感染症が流行したときに運用がどう変わるのか
- 要介護度が上がったとき・下がったときに、そのまま住み続けられるか
何が基本料金に含まれるかは、施設の種類によっても変わります。7種類それぞれの入居条件と制度上の位置づけは、別の記事で一覧にしています。介護施設の種類は7つ|入居できる条件と制度上の位置づけを一覧で整理をご利用ください。
入居が決まると、次に出てくるのが親の住んでいた家の片づけです。家具や日用品をまとめて処分する前に、査定を検討したほうがよい品目があります。実家の遺品整理|捨てる前に査定を検討したい品目と出張買取の注意点をご利用ください。
よくある質問
Q.介護施設の見学では、費用について何を聞けばいいですか?
A.月額表に載っている基本料金より、そこに含まれないものを聞くほうが差になります。本調査(n=110)で「基本料金に含まれていると思っていた」と挙がった項目は、オムツ等の消耗品41%、医療費・通院25%、理美容24%、レクリエーション・行事24%、衣類・日用品の補充23%、薬代22%などでした。これらについて、施設の指定品しか使えないのか、持ち込みに料金がかかるのか、付き添いは時間単位の課金かといった課金の設計を確認してください。1つずつ聞くのが難しければ、月額表とは別に「基本料金に含まれないものの一覧」を品目で出してもらうよう頼むのが早い方法です。
Q.見学した施設に、そのまま決めるものですか?
A.複数を比較するのが多数派です。本調査(n=110)で検討した施設の数は、2〜3ヶ所が75%で最も多く、4ヶ所以上が13%、1ヶ所だけで決めた人は13%でした。つまり、見学した最初の1ヶ所でそのまま決めた人は少数です。ただし多くの家庭は病院の退院期限や空き状況といった事情の中で決めており、何ヶ所も回る時間があるわけではありません。回る数を増やすことより、それぞれの施設で月額表と「基本料金に含まれないものの一覧」を受け取り、同じ形で並べて比べられるようにしておくほうが現実的です。
Q.施設探しには、どのくらいの期間をかけられますか?
A.本調査(n=110)では、探し始めてから入居までの期間は85%が6ヶ月以内でした。多くの場合、病院の退院期限や空き状況といった事情が先にあり、じっくり比べる時間があるわけではありません。必要になる前に1〜2ヶ所を見て、月額表と「基本料金に含まれないものの一覧」を受け取っておくと、時間がない局面でも同じ形で比べられます。
Q.このチェックリストは、どの施設でも使えますか?
A.質問の項目自体は、施設の種類を問わず共通して使えます。本調査の回答者110人の入居先は、特別養護老人ホーム35%、介護付き有料老人ホーム32%、サービス付き高齢者向け住宅8%、グループホーム8%、住宅型有料老人ホーム7%、老人保健施設7%で、特養からサービス付き高齢者向け住宅まで一通り含まれています(グループホームは9人と少数です)。ただし、何が基本料金に含まれ、何が別料金かは施設ごとに違います。リストの項目をそのまま当てはめて答えを想定するのではなく、月額表とは別に「基本料金に含まれないものの一覧」を品目で出してもらい、その施設の実際の区分を確認してください。
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出典・参考
- 親のあと手帖「介護施設の費用アンケート」(本調査)(2026年7月実施)※当サイトによる独自調査(n=110・インターネット調査・施設所在地35都道府県)。本記事の数値はすべてこの調査による
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日 老高発1212第1号)(平成26年12月12日発出/平成27年4月1日適用・2026年8月確認)※介護保険法の改正により、特養の入所は原則として要介護3以上(要介護1・2は特例入所)。本通知はその運用指針
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(2025年4月1日時点・2025年12月25日公表/2026年8月確認)※特養の入所申込者数の公表資料。本記事では待機が生じている事実の裏づけとしてのみ参照し、申込者数の数値は本文に記載していない
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言・税務相談ではありません。個別の判断が必要な場合は税理士・行政書士・弁護士等の専門家にご相談ください。