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実家を相続したら相続税はいくら?基礎控除と計算の順番

更新日:2026-07-25|読了目安:約9分|運営:サトコト合同会社

実家の前に立ち、書類を手に家を見上げる家族の水彩イラスト

実家を相続したときに相続税がかかるかどうかは、財産の合計額(課税価格の合計額)が基礎控除額を超えるかどうかで決まります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円。この金額以下なら、原則として相続税はかからず、申告も必要ありません。この記事では、実家の評価額の出し方、基礎控除との比べ方、超えたときの計算の順番を、国税庁の一次情報にそろえて整理します。

まず基礎控除と比べる(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

相続税は、遺産の総額にいきなり税率をかけて計算するものではありません。最初にすることは、財産の合計額と基礎控除額を比べることです。基礎控除額は法定相続人の数だけで決まるので、財産の内容が分からなくても先に計算できます。

法定相続人の数別・基礎控除額(国税庁 No.4152)
法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

課税価格の合計額がこの金額以下であれば、相続税はかからず、申告も納税も必要ありません。逆に超えていれば、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、申告と納税をすることになります(国税庁 No.4205)。

「法定相続人の数」は、相続放棄をした人がいてもその放棄がなかったものとして数えるなど、民法上の相続人と一致しないことがあります。養子の数にも制限があります。人数の数え方に迷う場合は税務署または税理士に確認してください。

実家の評価額は、固定資産税評価額から見当をつけられる

課税価格を出すには、実家の評価額が必要です。相続税での評価は本来、土地は路線価図をもとに形状・間口・接道状況などを加味して個別に計算しますが、手元の資料だけで見当をつけることはできます。使うのは、毎年4〜6月に市区町村から届く固定資産税の納税通知書に同封された「課税明細書」の、価格(評価額)欄の金額です。「課税標準額」ではなく「価格」を見てください。

  • 建物(家屋):相続税評価額は固定資産税評価額と同じ(倍率1.0)です(国税庁 No.4602)
  • 土地:固定資産税評価額は地価公示価格の7割程度(総務省)、相続税で使う路線価は8割程度(国税庁)が目安とされています。この関係から「固定資産税評価額÷0.7×0.8」で概算できます
これはあくまで概算のための簡易換算です。実際の路線価評価とは差が出ます。その差はそのまま税額に響くため、基礎控除のすぐ近くの金額になる場合は、必ず専門家か税務署に確認してください。

基礎控除を超えたときの計算は3ステップ

課税価格が基礎控除を超えた場合、相続税の総額は「法定相続分課税方式」で計算します(国税庁 No.4152)。実際に誰がいくら相続したかにかかわらず、いったん法定相続分で分けたものとして税額を出すのが特徴です。

  1. 課税価格の合計額から基礎控除額を引いて、課税遺産総額を出す
  2. 課税遺産総額を、法定相続分どおりに按分する(配偶者と子なら配偶者1/2、子は残り1/2を人数で割る)
  3. 按分した金額それぞれに下の速算表をあてはめ、出てきた税額を全員分足し合わせる
相続税の速算表(国税庁 No.4155)。左の金額は「法定相続分に応ずる取得金額」
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

3つの例で見る(当サイトのシミュレーターと同じ計算式)

下の3例は、いずれも仮の入力例です。土地の評価は上の簡易換算(÷0.7×0.8)、建物は固定資産税評価額そのまま、小規模宅地等の特例は使わない前提で、当サイトの実家相続シミュレーターと同じ計算式で出しています。

相続税の総額(配偶者の税額軽減の適用前・小規模宅地等の特例なし)
相続人実家(固定資産税評価額)実家以外の遺産基礎控除課税価格相続税の総額
配偶者と子2人土地1,400万円・建物200万円1,500万円4,800万円3,300万円0円
子2人のみ土地2,500万円・建物300万円2,000万円4,200万円5,157万円96万円
子1人のみ土地3,000万円・建物300万円3,000万円3,600万円6,729万円426万円

同じ実家でも、相続人の数が減ると基礎控除が小さくなり、税額は上がります。1人目の例で0円、3人目の例で426万円という差は、財産の額よりも「誰が相続人か」で開いています。まず自分のケースの基礎控除がいくらかを押さえることが、判断の出発点になります。

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税額が下がる可能性のある2つの制度

小規模宅地等の特例(土地の評価額が最大80%下がる)

亡くなった方が住んでいた宅地を、配偶者や同居していた親族などが引き継ぐ場合、330㎡までの部分について土地の評価額を80%減額できる制度です(特定居住用宅地等・国税庁 No.4124)。実家が財産の大半を占めるケースでは、この特例が使えるかどうかで結論が変わります。ただし要件が細かく、取得する人によって居住や保有の継続が求められます。同居していた親族が引き継ぐ場合や、いわゆる「家なき子」に当たる場合は、申告期限まで保有し続けることが要件です。つまり、80%減額を受けたままで、すぐに売って現金化することはできません。

配偶者の税額の軽減(1億6千万円まで)

配偶者が相続した財産については、1億6千万円か、配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかかりません(国税庁 No.4158)。適用には、申告期限までに遺産分割を終え、相続税の申告書を提出することが必要です。なお、配偶者に多く寄せると一次相続の税額は下がりますが、その配偶者が亡くなったとき(二次相続)の税負担が重くなることがあります。

重要な注意:小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減を使った結果として税額が0円になる場合でも、相続税の申告そのものは必要です。これらの特例は、申告して初めて適用されるためです。判定は特例を適用しない状態の課税価格で行います(国税庁 No.4205)。

相続税がかからなくても、実家には別の期限がある

相続税の申告が不要でも、実家を相続したこと自体の手続きは残ります。相続登記は2024年4月から義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります(法務省)。亡くなった方の名義のままでは売ることもできないため、売る・貸す・住むのいずれを選ぶにしても、名義を変えるところから始まります。

また、持ち続ける選択をした場合は固定資産税が毎年かかります。住宅が建っている土地は課税標準が200㎡までの部分で6分の1に軽減されていますが(住宅用地特例・総務省)、管理されないまま放置され、市区町村から管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けると、この特例が外れます。

よくある質問

Q.実家しか財産がない場合でも、相続税はかかりますか?

A.課税価格の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えなければ、かかりません。実家の評価額に預貯金などを足した合計で判定します。実家の相続税評価額は、固定資産税の課税明細書にある「価格」から、建物はそのまま、土地は「÷0.7×0.8」でおおよその見当をつけられます。ただしこれは概算のための簡易換算で、実際の路線価評価とは差が出ます。

Q.相続税がかからない場合、申告は必要ですか?

A.課税価格の合計額が基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も必要ありません。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減を使った結果として税額が0円になる場合は、申告が必要です。これらの特例は申告して初めて適用されるもので、判定は特例を適用しない状態の課税価格で行うためです(国税庁 No.4205)。

Q.申告と納税の期限はいつまでですか?

A.相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205)。この期限は、配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例を使うための「申告期限までの遺産分割」の期限でもあります。相続人の間で分け方が決まらないまま10か月を過ぎると、これらの特例を当初申告で使えなくなる可能性があります。

Q.土地の面積が広いと、小規模宅地等の特例はどうなりますか?

A.特定居住用宅地等として80%減額できるのは330㎡までの部分です(国税庁 No.4124)。これを超える部分は減額の対象になりません。当サイトのシミュレーターでも、面積を入力すると330㎡を超える分を按分して計算します。

Q.この記事の計算をそのまま申告に使えますか?

A.使えません。本記事とシミュレーターは、仮定の数値に基づく概算であり、個別の税務相談や税務代理ではありません。実際の申告額の計算は、税理士または所轄の税務署にご確認ください。一般的な相続税の取扱いについては、国税庁の電話相談センターで国税職員に無料で質問することもできます。

まとめ:順番は「基礎控除→評価額→特例」

実家の相続税は、①法定相続人の数から基礎控除額を出す ②課税明細書の金額から実家の評価額に見当をつける ③合計が基礎控除を超えるか比べる、という順番で見ていけば、専門知識がなくても大まかな位置は分かります。超えそうな場合、超えるかどうか微妙な場合、特例を使う場合は、いずれも申告が関わってくるため、税理士または税務署に確認するのが確実です。

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出典・参考

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言・税務相談ではありません。個別の判断が必要な場合は税理士・行政書士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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